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『太平洋食堂』 10万アクセス達成。

『太平洋食堂』 10万アクセス達成。日本の優れた舞台公演として国際交流基金から6か国語字幕付きで世界配信中。
『太平洋食堂』(嶽本あゆ美作)が、日本の優れた舞台公演作品をオンライン配信するプロジェクト「STAGE BEYOND BORDERS –Selection of Japanese Performances– 」(国際交流基金)に認定され、Youtubeにて6か国語(スペイン語、ロシア語、フランス語、英語、中国語、日本語)字幕付きで世界配信されています。
配信開始から40日で既に10万アクセスを超え、増加率も増え続けています。
反戦平和を願い国家と対峙するこの作品が、ロシアの人々にも届いていることを願うばかりです。
弊社が撮影、録音、映像演出を担当した作品が、門真国際映画祭2021で大阪府知事賞、優秀作品賞を受賞したほか最多受賞となり、こうして多くの翻訳家の手によって翻訳され、世界中に配信されていることは、ひとえに脚本の素晴らしさと役者さんたちの渾身の演技、そしてこの公演を支えてきた多くの関係者の熱意によるものですが、映像化によって皆さんの努力が報われていることがなにより嬉しく思います。
この作品は、3時間と長いですが、過去の歴史をなぞるものではなく、まさに現代が抱えている問題をあぶり出しています。主人公の大星誠之助(実在は大石誠之助)が理想とする食卓には、国家と個人の対峙、社会主義といった「イデオロギー」、権力者による「力の論理」、遊郭をめぐる「欲望」、それらから逃避しようとする若き「芸術」家、「宗教」による救いを信じてやまない僧侶と歴史を変えるために未来から過去に戻ってきた若き牧師見習い、現実主義の「ジャーナリスト」と、理想主義の「ジャーナリスト」、軍人志願の被「差別」平民、革命を目指す「労働者」たちがユーモアを交えて入り乱れている。これらは、いわば男目線の「主義」の世界ともいえ、作者嶽本あゆ美さんからしたら、それこそ「滑稽」な世界であるが、彼らのセリフひとつないがしろにせず、その実在感を浮き上がらせています。そして、何よりも嶽本あゆ美さんの真骨頂は、誠之助の妻ゑいと幸徳秋水の愛人(管野スガ)、そして家政婦などの女性陣の役作りとセリフです。
この作品において、妻ゑい(演じた明樹由佳さんは門真国際映画祭で優秀助演女優賞を受賞しました)の存在が大きいことはいうまでもありませんが、強すぎる管野スガと、家政婦たちの家族的な存在と出すぎない謙虚さの間で、ひときわ放つ妻としての存在感は見事という他はありません。門真国際映画祭では、明樹由佳さんと3日間ご一緒させていただいて、その立ち振る舞い、言動に、役を演ずることの意味を少しだけ理解できたような気がしました。
映画でもいつも男たちに文句をいっているようにしか見えないどこかの国の女性に本当の女性の強さとは何かを知ってほしいものです。
ライブ配信のカメラワークのために稽古のときから台本を覚え、撮影本番、編集時と、何百時間もこの作品を見続けてきましたが、まだまだ新しい発見があります。こんなに心を揺さぶられるのは、やはり、脚本の緻密な構成と、多様な人間の表現力、そして、嶽本あゆ美さんのこの作品にかけた情熱とどうしようもできない力への憤りの強さによるものと思います。無料配信は期間限定なので、この機会にぜひご覧ください。

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